この記事では現役の中学理科の教員が「溶解度」を華麗に解説します。

現役の教員である僕が、ズバリ教えます!
文系より理系が圧倒的に有利
文部科学省の令和元年度学校基本調査より
国内の大学の全学生のうち、私立大学の在籍数は約78%に上ります。
裏を返せば、国公立大学の学生の在籍数の割合は約22%となります。
次に、国公立大学の学部を詳しく見ていきましょう。国公立大学には全部で448学部があります。この448学部を学部数で並び替えると以下の表のとおりになります。
※トップ10のみ表示しています。
学部 | 総数 | 国公立 | |
1 | 工学部 | 113 | 51 |
2 | 教育学部 | 99 | 46 |
3 | 医学部 | 79 | 41 |
4 | 経済学部 | 139 | 31 |
5 | 理学部 | 44 | 27 |
6 | 農学部 | 35 | 26 |
7 | 法学部 | 104 | 17 |
8 | 理工学部 | 45 | 15 |
9 | 文学部 | 105 | 13 |
10 | 薬学部 | 78 | 13 |
トップ10の学部の総数は280学部(教育学部は除く)です。全体の約62%に上ります。
その280学部中の171学部が理系の学部になります。トップ10のうち、約61%が理系なのです。
国立大学を目指すことを考えると、理系が圧倒的に有利です。
※余談ですが、私立大学も理系の数が多いです。

大学卒業後のことにも触れます。理系は「専門的分野を学んできたため、専門職への就職に強い」という側面があります。
実際、僕の友人たちも所属する研究室からの推薦で就職先が決定するケースが多かったです。「理系の大学生の方が就職に有利」という実情は見過ごせません。
理系の肝となる教科は当然『理科』です。
理科が苦手だから文系というのは、非常に勿体ないです。
小学校の頃に好きだった理科。中学校でつまずく前に、対処しましょう!
中学1年生理科の苦手ポイント
僕の教員生活18年の経験に基づく、中学1年生の苦手ポイントは以下の通りです。
1分野
【物理】
・光の屈折
・焦点の計算(光学台の実験)
・圧力の計算
・水圧、浮力
【化学】
・質量パーセント濃度の計算
・溶解度
・融点・沸点(状態変化)
・密度の計算
2分野
【生物】
※暗記が多いのでなんとかできる生徒が多い
【地学】
柱状図、地層の比較
地震の計算
今回はこの中から、「溶解度」をテーマに解説を行います!
溶解度の表【問題攻略のポイント】
数字を身近なものに置き換えてイメージすることが大事です。
僕は乗客に例えましたが、なんでもOKです。筆箱と中に入るペンの数など身近なものに例えて考えましょう。
例題
下の表は、ホウ酸と食塩の20℃と60℃で水100gに溶けるおよその量をそれぞれ示したものである。
ホウ酸と食塩をそれぞれ60℃の水100gに溶けるだけ溶かして水溶液を作りました。
これについて、次の問いに答えなさい。
20℃ | 40℃ | 60℃ | |
ホウ酸 | 5g | 9g | 15g |
食塩 | 36g | 37g | 37g |
温度を20℃まで下げると、それぞれ何gの結晶が出てきますか。
さて、解けたでしょうか。
今回は、表で溶解度を示されたケースを題材に考えます。
例題の解説
まずは、ホウ酸と食塩を分けて考えましょう。
20℃ | 40℃ | 60℃ | |
ホウ酸 | 5g | 9g | 15g |
20℃ | 40℃ | 60℃ | |
食塩 | 36g | 37g | 37g |
では、ホウ酸からいきます。
乗客に例える
僕は溶解度を乗り物にのる乗客に例えて説明します。
20℃ | 40℃ | 60℃ | |
ホウ酸 | 5g | 9g | 15g |
これをこう考えるわけです。
小型車 | 中型車 | 大型車 | |
乗車人数 | 5人 | 9人 | 15人 |

問題文では、ホウ酸と食塩をそれぞれ60℃の水100gに溶けるだけ溶かして水溶液を作りましたとあります。
表を見ると、ホウ酸は60℃の水100gに15g溶けることが分かります。
※溶解度は、温度に比例します。比例って嫌なワードですね。簡単に言えば、温度が上がるほど溶ける量が増えるということですね。
つまり、60℃の水100gに溶けるだけ溶かす→Max15g溶けるということです。
これを乗車人数に置き換えて考えると、大型車(60℃)には15人まで乗ることができ、満員状態(15人乗車)になっているというわけです。ちなみにこの満員状態を飽和状態と言います。
その後、温度を20℃まで下げたとあります。これも乗車人数に置き換えると、小型車(20℃)に乗り換えたことになります。
15人乗りの大型車から、5人しか乗れない小型車に乗り換えたのです。
何人乗れなくなるか・・・答えは「10人」です。
60℃(大型車)を20℃(小型車)に下げる(乗り換える)と、15g(人)から5g(人)しか溶ける(乗る)ことができなくなります。したがって、10g(人)が出てくるというわけです。
あ、40℃の9gは問題に関係ないフェイク情報です。嫌なことしますよね。だまされたらいけません笑
食塩の場合
20℃ | 40℃ | 60℃ | |
食塩 | 36g | 37g | 37g |
この場合はたくさん載れる乗り物ですからバスでしょうか。

60℃を20℃に下げる(乗り換える)と、37g(人)から36g(人)しか溶ける(乗る)ことができなくなります。したがって、出てくるのは1g(人)だけいうわけです。
食塩はもともと温度が低くても溶解度がある程度高いせいで、温度が上がっても溶解度が大きく上昇しません。
この食塩の「温度による溶解度の変化が小さい」という特徴もよく問われるので要チェックです!
問題
20℃ | 40℃ | 60℃ | 80℃ | |
ホウ酸 | 5.0g | 8.7g | 14.8g | 23.6g |
食塩 | 36.0g | 36.6g | 37.3g | 38.4g |
上の表は、各温度においてホウ酸と食塩が水100gに何gまで溶けるかを表したものである。
これについて、次の問いに答えなさい。
(1)40℃の水100gに食塩を40.0g加えて、よくかき混ぜた。溶けきれずに残る食塩は何gですか。
(2)80℃の水100gにホウ酸を溶けるだけ溶かした水溶液を20℃まで冷やした。このとき、ホウ酸の結晶は何g出てきますか。
【問題の答え】
(1)3.4g
(2)18.6g
できたでしょうか。
溶解度の表【問題攻略のポイント】
数字を身近なものに置き換えてイメージすることが大事です。
僕は乗客に例えましたが、なんでもOKです。筆箱と中に入るペンの数など身近なものに例えて考えましょう。
溶解度に関しては、図の読み取り問題もよく出題されます。
それについては、別の記事で取り扱います。
理科って難しくないです。得意科目にしちゃいましょう!!
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