高校受験では「偏差値」という数値が常に使われます。
高校受験で重要視される割に、中学校で偏差値について説明している場面を僕は見たことがありません。
その結果…偏差値を理解していない人が続出しています…。
偏差値はとても大事な数値なのに、その本質を理解することなく数値だけが独り歩きしている状況です。
この記事では、偏差値について解説しています。
以下は僕の自己紹介です。

偏差値とは?
偏差値と言うワードは聞いたことがあるけど、意味が分からないという中学生や保護者がほとんどでしょう。
偏差値は受験者全体の中における自分の位置を表す数値です。
自分の位置を表す数値と言われてもよく分からないでしょうから、受験に場合にどう使われるかで説明していきます。
高校受験では試験当日の得点順に受験生を並べた上で、合否を決定します。
定められた点数以上の受験生が合格するのでなく、点数の上位から決められた数の受験者を合格にする方法をとっています。
したがって、受験生全体における自分の位置を知ることが非常に重要です。
具体的には下の図のように平均点を偏差値50になるように変換し、自分の得点と平均点との差から偏差値が決められます。

数値が高いほど成績が上位で、数値が低いほど下位であることを示します。
受験生全体における自分の位置を知りたいときに……
- なぜ偏差値が重視されるの?
- 偏差値以外の方法でも良いんじゃないの?
という方のために、「偏差値が重視される理由」を説明しましょう。
偏差値が重視される理由
他の人と自分の成績を比較する方法はいくつかあり、代表的なものが「点数」と「順位」になります。
偏差値なんか使わずに、点数と順位で他の人と自分の成績を比較すれば良いじゃないかと思いますが、点数と順位ではダメです。
それでは、他の人と自分の成績を比較をする方法として点数と順位ではダメな理由を、それぞれ見ていきましょう。
点数ではダメな理由
学校のテストで回答が返却され点数が分かりました。平均点も先生が教えてくれたとします。
しかし、これだけでは自分が全体でどの位置にいるかはよく分かりません。平均点を超えていれば、真ん中よりは上と分かりますが、具体的な位置は分かりません。
例えば、理科で化学と物理の中から問題を選択をしたとしましょう。
Aくん「平均70点の化学のテストで点数が90点」
Bくん「平均40点の物理テストで点数が70点」
AくんとBくん、どちらが実力が上だと思いますか?
点数だけに注目すればAくんが20点上回っているので、実力が上なのはAくんと考えそうです。
ところが平均点が違うテストなので、点数同士を比較できません…。
全員が同じテストを同じ条件で受けている場合には他の人と自分の成績を比較をすることが可能ですが、全員が同じテストを同じ条件で受けていない場合は、点数での比較はできないです。
他の人と自分の成績を比較をする方法として点数がダメな理由は、「点数は問題の難易度に左右されるから」です。
順位ではダメな理由
点数がだめでも、順位なら他の人と自分の成績を比較できそうです。
確かに、順位なら受験者全体の中における自分の位置が一目で分かります。
ところが、順位による他の人と自分の成績を比較には厳しい条件のクリアが必要です。
例えば、とある中3男子が〇〇県で行われる△△模試を受験したとしましょう。この模試で彼が〇〇県内の中3の中での自分の正確な位置を知るためには、〇〇県に住む中3全員が△△模試を受験していることが条件となります。
当然、そんなことは不可能です。模試の日に体調不良などで試験を受けない中3が出るなどして全員受験という条件はクリアできません。
他の人と自分の成績を比較をする方法として順位がダメな理由は、「受験者の数や質によって順位が変わってしまうから」です。
偏差値は便利なモノサシ

これまでお話ししてきたように、点数だけでは問題の難易度や平均点に影響されるため、他の人と自分の成績を比較をすることができません。
順位も受験者によって変化するので、参考にしにくい面があります。
ところが、偏差値なら他の人と自分の成績を比較をすることが可能です。
偏差値50や70という数字から、なぜ自分の位置が分かるのかと不思議に思うでしょう。
偏差値と順位の関係をまとめた下の表を見てください。
偏差値 | 1,000人中の順位 | 最上位からの割合 |
---|---|---|
80 | 1位 | 0.1% |
75 | 6位 | 0.6% |
70 | 22位 | 2.2% |
65 | 66位 | 6.6% |
60 | 158位 | 15.8% |
55 | 308位 | 30.8% |
50 | 500位 | 50.0% |
45 | 691位 | 69.1% |
40 | 841位 | 84.1% |
35 | 933位 | 93.3% |
30 | 977位 | 97.7% |
実は、表から分かるように偏差値ごとの人数分布(%)は決まっています。偏差値45の場合は、100人中なら約70番目だと一目でわかります。
このように偏差値(統計)を使えば、全体からの分布により、「自分の位置を正確に把握すること」ができます。
問題の難易度や受験者数にも左右されず、自分の学力を正確につかめる『便利なモノサシ』が偏差値になります。
偏差値は高校を選ぶときに超重要
偏差値は高校を選ぶときに、超重要になります。
中学生が志望校についてリサーチするとき、「何点以上取れば合格できるか」を調べるケースが多いです。
くり返しになりますが、点数は平均点によって大きく変化する数値になるので偏差値を重視しましょう。
お子さんが進学したい高校を志望している受験生の中で、あなたのお子さんがどの位置にいるのか…つまり「偏差値を知ること」がとても重要になります。
偏差値が高校受験で重要視される理由は、『自分の位置を表す数値=偏差値』です。
高校受験では、お子さんの得点だけで合否が決まらないからので注意が必要です。
高校受験の合否は試験の結果と内申点の合計点で決まります。
「試験の結果と内申点の合計点」を上から順に並べ、定員内の受験生は合格となる仕組みです。
偏差値だけでなく、内申点も上げる努力を惜しんではいけません!
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偏差値の計算方法
偏差値の計算をする公式は……
偏差値=10×(個人の得点−平均点)÷(標準偏差)+50
となります。
偏差値の計算手順
偏差値を計算するときの手順は、次の6つになります。
- 平均点を求める
- 偏差を求めて2乗する
- 偏差の2乗の合計を受験者数で割り分散を求める
- 分散の正の平方根を計算し「標準偏差」を求める
- 「平均との差」を「標準偏差」で割る
- 「偏差値」を求める
平均点を求める
テストを受けた全員の得点を合計し、受験者数で割る。
偏差を求めて2乗する
テストを受けた全員の偏差(得点から平均点を引いた値)を求め、それを2乗する。
偏差の2乗の合計を受験者数で割り分散を求める
偏差の2乗を全員分合計し、受験した人数で割ることで「分散(偏差の2乗の平均値)」が求める。
分散の正の平方根を計算し「標準偏差」を求める
分散の正の平方根を計算して「標準偏差」が求める。
※標準偏差は得点の散らばり具合を表す数値で、模試や科目によって毎回値が異なる。
「平均との差」を「標準偏差」で割る
自分の点数から平均点を引いた値を、標準偏差で割る。
「偏差値」を求める
出た数値を10倍してから50を足すと偏差値が求められる。
偏差値の計算における具体例
平均点が60点のテストで80点だった生徒(標準偏差は20)の偏差値を計算しましょう。
(80-60)÷20×10+50=60
したがって、この生徒の偏差値は60となります。
偏差値を計算するのはかなり難しい
偏差値を求めるための式を見れば一目瞭然ですが、同じ点数でも平均点が変われば偏差値も変わります。
したがって、異なるテストの偏差値を比較しても意味が無いということになります。
公式自体は足し算や掛け算でできているので、さほど難しくないのですが…偏差値の計算は難しいです。
偏差値の計算が難しい理由は計算の複雑さだけではなく、「受験者全員の点数を知る必要がある」ことに原因があります。
想像してみてください。受験者全員の点数を集めるとなると、膨大な時間と労力が必要になります。
偏差値の簡単な求め方

偏差値を計算するのはめちゃくちゃ大変です。
それでは、どうすれば偏差値を知ることができるのでしょうか?
偏差値を簡単に知る方法
お子さんの偏差値を簡単に知る方法は…積極的に「模試」を受けることです。
お住まいの地域では中3を対象にした模試が高校受験に向けて、年に数回は行われています。
塾に所属していれば案内が来ると思いますが、そうでない場合は自分で調べて申し込んでください。
学校でも同様の模試が行われると思いますが、回数が少ないのが難点です。
模試の結果を見れば、計算せずに偏差値が分かります。また、継続的に模試を受けることで偏差値の推移を知ることができます。
もしもお住まいの地域で模試を行っていないという場合は、インターネットを活用して模試を受けることも可能です。
母数の受験生がにはお子さんの志望校を受験する中学生以外も含まれますが、偏差値を求める方法として十分に使えます。
偏差値が役立つテストは模試だけ
模試によって偏差値が違うので、「どれを信用したらいいか分からない」と保護者から相談されることが多いです。
中学校も3年生になると、模試を受ける機会が増えるのでこの疑問が生じやすくなります。
自分の偏差値を把握するため模試を受けることをおすすめしました。よくよく考えれば、学校で受ける定期テストでも偏差値が求められます。
ところが、定期テストの偏差値を参考にするのは避けなければなりません。
定期テストの偏差値を参考にするのがいけない理由は、受験生の質が本番と違うからです。
お子さんの志望校が公立高校であれば、都道府県ごとの出題傾向に対応した模試を受けると良いでしょう。
偏差値を確認することと同時に、出題傾向を掴むこともできるのでおすすめの方法です。
偏差値を上げる方法
これまでお話ししてきた通り、偏差値を見る時のポイントは50からどれだけ離れているかに注目しましょう。
ここで、気を付けなければならないことがあります。それは偏差値はテストの点数に比例しないことです。
つまり、自分が点数が高くなっても平均点が高ければ偏差値は変わりません。
偏差値は受験者全体の中における自分の位置を表す数値なので、他の受験生が頑張らなければ自分は何もしなくても偏差値が相対的にアップするわけです。
偏差値はあなたのお子さんの頑張りだけで決まるものではなく、他の受験生の結果で変化するということを覚えておいてください。
偏差値を上げるポイントは、周りとの差を広げることになります。
中学生の偏差値の計算方法
偏差値は自分の学力を正確につかめる『便利なモノサシ』です。
偏差値(現在の自分の位置)が把握できれば、高校受験本番で合格率を見極める材料になります。
偏差値を計算するための公式は……
偏差値=10×(個人の得点−平均点)÷(標準偏差)+50
となります。
この公式を使って偏差値を求めるには、受験者全員の点数が必要になるのでなかなか活用できません。
そこで、偏差値を簡単に求める方法は「模試」を受けることになります。
模試を受ければ面倒な計算をしなくても偏差値が求められ、模試を受けることで高校受験に向けた対策もできるので一石二鳥です。
高校受験の合否は試験の結果と内申点の合計点で決まるので、「偏差値の底上げ」と「内申点アップ」の2つが高校受験の合否を分けるポイントになります。
まずは模試を利用して、偏差値(現在の自分の位置)を正確に把握しましょう。
高校受験の対策は、その道のプロに指導をお願いするのが合格への近道です。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました!